ひな祭りといえば雛人形。
雛人形は、もともと自分の身代わりに穢れを受けて、川へ流す風習が由来となっています。
そのため、女の子にふりかかる災いを女の子の身代わりに受けると考えられ、現在でもご家庭の女の子幸せや健康を願う意味をこめて飾られます。
雛人形の定位置は、昔は床の間でしたが、住宅事情が大きく変わり、飾る場所がない家も出てきたために、ガラスケースでぽんと置くだけの平段飾りが増えてきました。
いざ豪華な5段飾りや7段飾りを小道具を含めて飾ろうとすると、わからない人も多いでしょう。
ひょっとしたら、下の段には誰がいるのかもわからないかもしれません^^;。
そこで、どこの段にどの雛人形を飾るのか、そして人形の意味や子供への伝え方も一緒に調べてみます。
この記事の目次です
雛人形の名前と意味は?
それではさっそく、雛人形を1番上から見ていきましょう。
一段目 内裏雛(だいりびな)

どんな雛飾りにも欠かせない主役のお内裏様と、お雛様を飾るのが1段目です。
雛人形は、日本での昔の貴族社会を表現しており、天皇皇后陛下のように良縁に恵まれるように、との願いを込めて飾るので、1段目の男雛(おびな)は天皇陛下、女雛(めびな)は皇后陛下を表現しています。
もともと内裏とは、天皇陛下が生活する場所のことを指すので、男雛だけでなく、1番上に飾る男雛と女雛のペアで内裏雛と呼びます。
ちなみに・・・・・男雛と女雛の並び方は京都と関東では違います。
武家中心の関東では「右が上位」。よく、「右にならえ」って言いますよね。なので、右(向かって左側)が男雛になります。
上記画像は、関東風です^^;。
ちなみに、公家中心の社会であった京都では「左側が上座」。つまり男雛は見る側からすると右側になります。
最近はグローバルスタンダードに従って、左右を逆に並べることが増えていますが、京都の雛飾りは左右が昔と変わらないことも多いので、お好みで左右を決めればいいでしょう。
二段目 三人官女(さんにんかんじょ)

二段目は、内裏雛の世話をする三人官女の段です。
結婚式でいうと、ウェディングの裾払いをしたり、先に扉を開けたりするアテンドのような役目で、食事の上げ下げなど、内裏雛の細やかな世話をする役割の女性たちです。
中央の女性が座り、左右の女性が立ち姿で、向かって左から長柄(ながえ)の銚子、三方、くわえの銚子を持たせます。
真ん中の女性の歯が黒いのはお歯黒をして既婚女性だから。
また、この女性は神へのお供えを乗せた三方の他に、松竹梅を飾った島台(しまだい)を持たせることもあります。
三段目 五人囃子(ごにんばやし)

三段目は五人囃子で、太鼓と笛の美少年の楽団。美しい音楽で内裏雛の結婚式を盛り上げます。
向かって左から太鼓、大鼓(おおづつみ)、鼓、笛と謡(うたい)の順番で、謡の人には扇子を持たせます。
打楽器は左から大きい順で並んでいますので、小鼓と大鼓は大きさで判別しましょう。
四段目 随身(ずいじん)

四段目に飾る随身とは、雛祭りの歌に出てくる右大臣と左大臣のことで、貴族のボディーガードの役割を担っていました。
本来は、上の段の官女やお囃子よりも、身分が高い人物ですが結婚式の場ということで、四段目に位置しているのです。
向かって右側に飾る若い男雛が左大臣で力を司り、反対に飾る老人が右大臣で知性を司ります。
どちらも弓矢を持っていますが、左手の袖に挟むように弓を持たせて、右手の矢は矢尻を上にします。背負わせる矢筒は、右肩から羽根が見えるようにします。
五段目 仕丁(しちょう)

五段目に飾るのは、衛士または仕丁と呼ばれる人たち。平民出身で、主人の身の回りの細々とした雑用をする役職です。
中央には主人の履き物を預かる沓台(くつだい)を怒り上戸、向かって左が台傘(だいがさ)を持つ泣き上戸、反対が立傘(たちがさ)を持つ笑い上戸。
台傘とは、帽子のようにかぶる丸い傘で、長い柄にかけて持ち、武家が好んで使用していました。
笑い上戸の立傘は現在の傘に近い細長い形をしており、大名などの身分が高い人の飾り傘として使用されていました。
他の段と比べて大名や武家など、天皇陛下との関わりが薄いのは、五段目が地域によって変化するからです。
江戸幕府のお膝元だった関東は傘や沓台を持っていますが、京都では天皇陛下が生活する御所の掃除道具を持たせることもあります。
それぞれが持っているものと合わせて、「泣き顔の熊手」「怒り顔のちりとり」「笑い顔のほうき」と呼ぶこともあるのです。
六段目・七段目 調度品

六段目と七段目は人形は飾りませんが、牛車や箪笥(たんす)、火鉢、鋏箱(はさみばこ)などの調度品を飾ります。
これらの調度品には、内裏雛の女雛が持って行く、嫁入り道具の意味合いがあります。
雛人形は女の子の身に降りかかる災難を、身代わりになって受けると考えられていたので、嫁入り道具をつけ加えることによって、結婚によって受ける被害やトラブルも雛人形が肩代わりしてくれるように願ったのです。
可愛い娘が結婚して苦労しないかどうか心配するのは、今にも通じる親心かもしれませんね。
子供に簡単につたえるには?
7段飾りともなれば登場人物も多く、1つ1つを子供に説明していては、子供の集中力が続かずわからなくなってしまいます。
1段1段の説明はできるだけ短くして伝えましょう^^。
「お雛様は、昔の王様とお姫様の結婚式の様子を表現しているんだよ。
だから1段目のカップルは王様とお姫様の新郎新婦だよ。
二段目は王様とお姫様の身のまわりの世話をする三人官女。王様とお姫様は豪華な着物を着て動きにくいから、細かいことを三人官女がかわりにやってサポートするの。
三段目は太鼓や笛をもってるよね。五人囃子っていって、音楽を奏でて結婚式を盛り上げているの。
四段目は随臣(ずいしん)っていうボディーガードの人たち。
五段目は召使いの人たちで、王様たちの傘を持ったり、家を掃除したりするんだよ。
六段目と七段目はお姫様がお嫁に行くのに、持って行くお嫁入り道具。
王様とお姫様みたいに○○ちゃんが幸せになれるように、願いを込めて飾るんだよ」
というように話しましょう。
段ごとに飾る人形についての説明が聞けないようなら、三人官女などの人形の役割や意味をばっさりと省略しても構いません。
結婚式の様子であることと、お子さんが結婚したお姫様のように、幸せに過ごせるように願って飾る部分だけ伝えても、雛人形の意味は伝わると思います^^。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、ひな祭りの雛人形の意味と、子供への簡単な伝え方についてまとめてみました。
ひな人形の意味など、まったく考えもしなかったのですが、こうして一つ一つ調べてみると、すごく興味が湧いてきますよね^^。
大枠で伝えるには・・・・
- 結婚式を表している
- お子さんがお姫様のように、幸せに過ごせるように願って飾る
次に、それぞれ段ごとの説明を入れていくと、分かりやすいかもしれません。
調べてみると、人形の並べ方が京都と関東では違うなんて、知らなかったです^^。女の子が幸せになるように願う親の気持ちは、いつの時代でも変わらないですね。
ひな人形を飾る時の楽しみが、ずいぶんと増えた気がします。素敵なひな祭りをお過ごしください^^。